Based on True Story |
この映画は、サム・チルダースという人物の「実話」を描いています。
ペンシルバニアの白人貧困層に生まれ育ち、若い頃から麻薬売買や強盗を繰り返し自身も麻薬常用者だった札付きのワル、サム(演じるのは「オペラ座の怪人」のジェラルド・バトラー)。
信仰と家族愛に目覚めて更生し、生活も安定してきた頃、住宅建設のボランティアとして内戦が続くウガンダを訪れたサムは、南スーダンとの国境周辺で住民の虐殺を繰り返す狂信的ゲリラ・LRAの存在と、多くの子どもたちがその犠牲となっていることを知ります。
自分に何かできることはないか、と考えたサムは帰国後、貧しい人たちでも気軽に通える教会を地元に建て、そして再びウガンダへ戻り国境近くに孤児院の建設を始めるも、そこへもLRAの襲撃が。
子どもたちを守るためについに自らも銃を手にして戦闘に身を投じLRAに対して容赦なく引き金を引くサム。しかし繰り返される悲劇への無力感や周囲の無関心、銃口を向ける相手もまた少年兵であることへのジレンマから次第にイラ立ち、そして自分を見失っていく・・・
2時間で話がとんとんと進んで行くのでよけいに信じ難く感じる方もいるかも知れませんが、多少の時間的な前後はあるものの、劇中で起こることはほぼ真実であるとのこと。
ボクはこの映画について知るまで、サム・チルダースという人のことは知りませんでした。
ルワンダの虐殺についての本を読む中で、ウガンダの現状の一つとしてLRAというゲリラと内戦状態にあることは知っていましたが、LRAがこれほどまでの虐殺や少年兵への洗脳・強要、児童の性的搾取を行う組織だとも知りませんでした。
知らないと何も始まりませんよね。
そういう意味ではこの作品はボクにとって、そしておそらく「世界をもっと知りたい」と思っている多くの方にとって、価値のある映画だと思います。
「自分のやっていることを正当化するためにあれこれ言うつもりはない。ただ、仮にあなたの家族がテロリストに誘拐されたとして、オレがそれを無事に救出してやると約束したとしよう。その時、あなたはオレに手段を問うかい?」
こう語るサム・チルダースの活動には当然ながら賛否両論があり、映画の中でも何か結論が出る訳でもありません。
それでも彼が困難な状況にある多くの人のために信念をもって全てをなげうち文字通り「命がけ」の行動を起こし、大勢の子どもたちの生命を守り、笑顔を取り戻してきたのは事実。
自分だったらどうするか。
違う方法があるとすれば、それは何か。
今の自分にできることがあるとすれば、なんだろう。
きっと何か考え、得るものがある映画だと思います。
長崎ではユナイテッドシネマ長崎で6/18まで上映中、8/3にはDVDが発売予定のようです。ぜひ。