2012年9月8日土曜日

ナイシムさん一家

当店で扱っている商品のうち、カンボジアで作られている商品は全て当店が直輸入して販売しています。


初めてカンボジアへ行き、丸一ヶ月滞在し、現地の方はもちろん在住の日本人の方々や欧米からのボランティアの人たちを日替わりのように訪ね、時には1週間前後行動を共にしたり孤児院に寝泊まりし、現地の実情を学び感じ取るとともに、NGOや個人の生産者の方の情報を収集したのが昨年の春。



その後約1年かけて開店の準備を行い、オープンのめどが立った今年の2月に再びカンボジアへ渡り、日本からやり取りをしていた現地の方の情報なども元にして限られた時間の中で様々な生産者団体を訪問しました。




製品の品質を確認するのはもちろん、活動の趣旨や実績、設立の経緯などもうかがい作っている現場も見せていただいたNGOや個人の方の製品の中から、ぜひ日本に紹介したいと思ったもの、かつ当店のコンセプトや雰囲気に合うものをセレクト。



それが現在店頭で販売している「ドーターズ・オブ・カンボジア」「ジャスティーズ」「リハブ・クラフト」「CHA」「ヘン・ナイシム」の商品なのですが、この中で唯一NGOではない一般の(?)生産者の方が、家族みんなで昔ながらの手機織りを続けているヘン・ナイシムさんのご一家。



生まれ育った土地をクメール・ルージュによって追われ、ポル・ポト時代の終焉後に結婚し5人の子宝に恵まれたもののご主人を病気で亡くして女手一つで必死に働いて機織りを始めたお母さんのソックアンさんを支える長女ナイシムさんと妹弟たちとはちょっとした偶然から出会いました。



夕陽の中で糸を巻くお母さんのソックアンさん


苦労してきたお母さんのために姉弟が力を合わせている姿と、決して裕福ではないにもかかわらず村で獲れる果物と明るい笑顔で歓迎してくれた気もちに感動し、障害や病気を抱えていたり通学や食事もままならないほどの貧困にある訳ではないご家族ですが、「知り合ったのも何かの縁、少しでも力になれたら」と思いました。


笑顔が素敵なしっかり者の長女ナイシムさん

 
もちろん、当店で取り扱うことを決めたのは、ナイシムさん一家が作るコットンやシルクの手織りのスカーフのデザインや品質が良く、日本でも十分に人気が出そうだったからでもあるのは言うまでもありませんよね。言っちゃったけど(笑)


一番熟練?のナイシムさんの叔母さん

フェアトレード認証などは受けてはいませんが、認証された生産者だけがフェアトレードだと思われていたり、実際に認証を受けた商品しかフェアトレード商品として取り扱わないお店があったりすることがフェアトレードの一つの課題だと感じていますので、ナイシムさんの製品はその課題への当店なりの独自の取り組みの一つでもあります。



次に訪ねることができるのはいつになるか分かりませんが、きっと変わらない笑顔で、そして少し良くなった暮らしで歓迎してくれるナイシムさん一家とまた会えることを楽しみにしています。